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山陽新幹線保守車両追突脱線事故:2010/12/14にも再現実験 <神戸新聞 2010/12/11>を添削
山陽新幹線の須磨トンネル(神戸市須磨区)で起きた保守用車両の追突脱線事故で、兵庫県警捜査一課と須磨警察署が、2010/12/14未明にも事故現場で車両を使った再現実験を実施する方針を固めたことが2010/12/10、捜査関係者への取材で分かった。事故車両の運転手らも立ち会い、どの程度の視界だったのかなどを調べ、業務上過失往来危険容疑を視野に立件を目指す。
追突した車両の運転手(27)は、兵庫県警の調べに「粉塵で前がよく見えなかった」などと供述している。捜査関係者によると、再現実験は新幹線の運行時間外に実施。運転手や作業員が立ち会い、事故車両などを動かして供述の裏付けを進める。
2010/08には、JR西日本が再現実験を実施し、事故直前に対向車線を別の作業車両が走行し、トンネル内の粉塵や排ガスが巻き上げられたため、視界不良や装置の作動遅れにつながった可能性が高いと発表。通常300m手前で作動する衝突防止装置が100m程度で反応したとしている。
兵庫県警として独自に実験して、運転席からの視認距離などを確認し、過失の度合いを測る判断材料にするとみられる。
(後略)
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山陽新幹線における保守用車追突に関する改善策について <JR西日本プレスリリース 2010/11/08>を添削
(1)原因
保守用車責任者および運転者(保守用車責任者など)が、見通し不良にもかかわらず、減速しなかったことによるものと考えております。これに加えて、次項に示すように支援装置の反応距離が短くなっていたことなどが背後要因であると認識しております。
(2)原因究明において認識した課題
・保守用車責任者などは、見通し不良にもかかわらず、減速していませんでした。
・保守用車責任者などは、レール削正車が作業区間西端にいると思い込んでいました。
・保守用車責任者などは、保守用車接近警報装置に頼った運転をしていました。
・保守用車責任者などに対する教育が実行に結びついていませんでした。
・保守用車責任者などは、保守用車接近警報装置の鳴動を認識できていませんでした。
・300メートル程度と認識していた保守用車衝突防止装置の反応距離が、煤煙により136メートルと短くなっていました。(雨霧などの際、反応距離が短くなることは既知)
(3)施工体制において認識した課題
多くの作業が行なわれている実態を踏まえ、全社的な現場実務者などへの聞き取りなどの実態把握による検証の結果、仕組みに問題ないものの、履行に関して以下の課題を認識しました。
・反復移動する作業を行なっている区間に他の保守用車が進入できる保守用車などダイヤとなっている場合がありました。
・工程が遅れる場合の保守用車責任者から地区施設指令への連絡は、義務付けられているが具体的な時期が定められておりませんでした。
また、全社的な現場管理者などへの聞き取りなど実態把握により抽出した課題について、役割分担・連携の観点から検証した結果、仕組みを見直す必要性のある課題はなかったものの、履行に関して以下の課題を認識しました。
・レール削正後の見通し不良など現場実態を把握できていませんでした。
(4)改善策
〔ハード対策〕
・全保守用車にドライブレコーダーを新たに設置します。
・当社の安全研究所の研究成果などを踏まえ、保守用車接近警報装置の音量などを改良します。
・新たな保守用車衝突防止装置の開発を進めます。
〔ソフト対策〕
(教育)
・保守用車責任者などに対して、見通し不良時の減速や速度遵守などの役割に応じた教育を実施します。
・支援装置に関する機能の基本について、DVDなどわかりやすい資料を作成し教育を実施します。
(ルール)
・レール削正の影響があるトンネルでは、救援保守用車などやむを得ない場合を除き、後続保守用車を計画しないこととします。なお、やむを得ず計画する場合は、後続の保守用車責任者が地区指令にレール削正車が作業区間から出発したことを確認したうえで進入するルールとします。
・工程に遅れが生じる恐れのある場合については、保守用車責任者が地区指令に報告し、地区指令が後続の保守用車責任者に通告するルールとします。
(計画・施工管理)
・反復移動に該当する作業を明確化した上で、反復移動する作業を行っている区間に他の保守用車を進入させない保守用車などダイヤとします。
・グループ会社と相互に連携して役割を果たすとともに、現場実態把握が極めて重要であるとの認識に立ち、リスクアセスメントのレベルを高めていきます。
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山陽新幹線保守車両追突脱線事故:接近警報は正常作動 <神戸新聞 2010/08/24>を添削
山陽新幹線の須磨トンネル(神戸市須磨区)で起きた保守用車両の追突脱線事故で、JR西日本副社長の西川直輝が会見し、事故当時には鳴らなかったとしていた接近警報装置が、実際は正常に作動していたことを明らかにした。
JR西日本によると、接近警報装置は電波で保守車間の距離を測り、500~700mに近づくと警報音が鳴る仕組み。当初、追突した保守車両の運転手が社内調査で「警報装置は鳴らなかった」と述べ、警報装置のブレーカーが落ちていたことから、事故直前は装置が作動しなかったとみていた。しかしその後の調査で、ブレーカーは追突時に落ちた可能性が高いことが判明。警報装置は正常に作動したが、運転手らが無意識のうちに警報の音量を下げた可能性が考えられる。
今回の事故以外でも、警報が鳴ると運転手が条件反射的に音を小さくする傾向がみられることから、JR西日本は装置の改良を検討する。
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山陽新幹線保守車両追突脱線事故:排ガス充満、作動遅れ <神戸新聞 2010/08/23>を添削
山陽新幹線の須磨トンネル(神戸市須磨区)で起きた保守用車両の追突脱線事故で2010/08/23午前、JR西日本副社長の西川直輝が会見し、追突したトンネル保守車の衝突防止装置の作動が遅れた原因について、事故直前に対向車線を走行した作業確認用車両によって、トンネル内の排ガスや粉塵が巻き上げられ、視界不良となり、衝突防止装置のセンサーの反応も遅らせた可能性が高いことを明らかにした。
JR西日本によると、衝突防止装置は、前方車両との距離を赤外線センサーで計測し、約300mまで接近した時点で時速30kmを超えていれば自動的に非常ブレーキがかかる仕組み。しかし事故当時は136m手前でようやく前方の車両を検知し、117m手前で非常ブレーキが作動していた。
JR西日本は2010/08/11未明、追突した保守車両とは別の車両を使い、事故現場で再現試験を実施。その結果、対向車線を走っていた作業確認用の車両がレール削正車とすれ違った際、トンネル内に充満していた削正車の排ガスを巻き上げ、事故現場付近に運んだ可能性が高いことが分かった。
JR西日本は追突直前の現場の見通しは250~300mとなり、衝突防止装置のセンサー反応距離も通常の1/3の約100mに縮まったと推測。西川・副社長は「雨や霧で衝突防止装置の反応距離が少なくなることは承知していたが、トンネル内で煙が舞い上がって距離が縮まることは把握していなかった」と述べた。
また追突した保守用車の責任者らが、レール削正車が事故現場から約2km先にいると思い込んでいたことも判明。社内規定では見通しの悪い区間は減速する決まりだったが減速せず、下り勾配では制限速度を超える時速40〜50kmで走っていた。
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なんだ、最初に運転士が言っていたとおりじゃないか。
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山陽新幹線保守車両追突脱線事故:JR西日本、作業の現場を把握せず <神戸新聞 2010/07/29>を添削
山陽新幹線の須磨トンネル(神戸市須磨区)で保守作業車両の追突脱線事故が起きて、2010/07/29で1週間になる。安全装置が二重に機能しなかっただけでなく、JR西日本が外注頼みの保守作業の現場を十分に把握していない現状が明らかになった。JR西日本はこうした事態を深刻に受け止め、保守車両の取り扱いをめぐる現場の実態調査に乗り出した。
事故はレール削正車にトンネル保守車が追突し、脱線した。保守車には先行車の300m以内に近づくとブレーキがかかる衝突防止装置があったが117m手前でしか作動せず、500〜700mに近づけば警報音を出す接近警報装置もブレーカーが落ちて鳴らなかった。
前代未聞の装置トラブルに加え、JR西日本が問題視するのは、保守作業の実態を十分に把握できていなかった点だ。「どこの誰が運転していたのか」。JR西日本は発生当初、運転手や作業員について情報を持っていなかった。
JR西日本は線路やトンネルの補修・点検など保守工事の大半をグループ会社や下請け会社に外注しており、自らは検査業務を担当する程度。作業現場を抜き打ち的に巡回することはあっても、監督的な立場の社員が立ち会うことはない。
事故を起こした保守車の運行は、JR西日本が約38%出資するグループ会社 大鉄工業(大阪市)が請け負っていた。実際に乗っていた3人はさらに下請けの社員だった。
保守車の運転手は制限速度オーバーの時速47kmで走っていたが、須磨警察署などの調べに「いつも(速度超過の)時速40〜50kmで走っていた」と供述した。別の現役作業員は「そもそも作業ダイヤに無理がある」と明かす。電車運行の妨げにならないよう限られた時間で行われる保守作業。「作業時間を守るために、制限速度を破っていることが多い」。
あるJR西日本社員は「工事前の打ち合わせで(外注先に)疑問点を問いかけるなど意思疎通を図ってきたつもりだったが、それだけでは不十分なのかも」と漏らす。
JR西日本など旧国鉄各社は民営化前後の採用抑制の影響で35〜44歳の社員が極端に少なく、今後も保守作業を外注に頼らざるを得ないのが現状。
(後略)
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山陽新幹線保守車両追突脱線事故:居眠り防止装置も事故直前作動せず? <神戸新聞 2010/07/27>を添削
(前略)
またJR西日本は、追突した車両に同乗していた作業責任者(64)への聴取内容も公表。「レール削正車が100m程度先に見えたので運転手に止まるよう指示し、(自身も)非常ブレーキをかけた」と説明した。運転手(27)は「200〜300m手前で削正車を発見し、ブレーキをかけた」としており、説明内容が食い違っている。
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山陽新幹線保守車両追突脱線事故:負傷者公表遅れのまずさを社長が認める JR西日本 <神戸新聞 2010/07/27>を添削
JR西日本社長の佐々木隆之は2010/07/26、東京都内で開いた定例記者会見で、2010/07/22に起きた山陽新幹線の保守車両追突脱線事故について、「安全対策の推進を最も求められているのに、信頼を損ね、深くお詫びしたい」と事故後、初めて公の場で陳謝した。保守車両の運転士が負傷した事実を2010/07/26まで公表していなかったことには「早急にお伝えすることが必要であった」とし、対応のまずさを認めた。
会見では事故状況や原因に関し調査中としながら「運転士の説明と記録が合致していないところがある」と説明。現段階での個人的見解として「実際の作業に問題があったのではないか、と思っている」と述べた。他に「事故の背景に保守作業の外注があるのでは」との指摘もあり、佐々木社長は「実態をきっちり見ていく必要がある」とした上、保守作業現場の安全パトロールを強化する方針を示した。
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別の警報機も作動せず <神戸新聞 2010/07/26>を添削
山陽新幹線の須磨トンネル(神戸市須磨区)で起きた保守用車両の追突脱線事故で、JR西日本は2010/07/26、車両同士が接近した際に警報音を発する接近警報装置が作動しなかったことを明らかにした。
この事故では、車両の接近時に非常ブレーキが自動的にかかる衝突防止装置の作動が遅れたことが分かっているが、衝突を防ぐ装置が二重に機能しなかったことになる。また、追突されたレール削正車の運転手(22)が負傷していたことも明らかにした。
JR西日本の2010/07/26午前の会見によると、接近警報装置は電波で保守車両間の距離を測定し、500〜700mになると警報音が鳴る。追突した車両の運転手(27)は「接近警報装置でレール削正車の位置が分かると思ったが、鳴らなかった」と説明した。JR西日本が追突車両を調べると、接近警報装置などの電源を供給するブレーカーが落ちていた。この装置は事故現場の約10km手前では鳴っており、その後、ブレーカーが落ちた可能性が高い。
追突車両の運転手は「削正車は、事故現場より2900m先にある作業区間の西端にいると思っていた」と説明。削正車が作業区間を反復移動していることは知っていた。運転手は「削正車を200〜300m手前で発見し、ブレーキをかけた」。
また、負傷したのは、削正車の西明石側の運転席にいたグループ会社「レールテック」(大阪市)の社員。2010/07/22の須磨警察署の事情聴取後、首の痛みを訴え、病院で両肩挫傷と診断された。JR西日本は2010/07/22夜に連絡を受けたが、公表しなかった。須磨警察署には2010/07/25午前に知らせた、としている。JR西日本新幹線統括部長の真野辰哉は(中略)と釈明した。事故の発生時間についても2010/07/22 04:20頃から04:15頃に訂正した。
兵庫県警によると、運転手は全治1週間の診断を受けた。2010/07/26の聴取に対し「診断書は出たが、被害申告はしない」と説明した。兵庫県警は診断書のコピーの任意提出を受け、追突車両の運転手らを業務上過失傷害容疑で立件するかどうか、神戸地検と協議する方針。
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山陽新幹線保守車両追突脱線事故:3つの安全装置ことごとく機能せず <読売新聞 2010/07/26>を添削
山陽新幹線須磨トンネル(神戸市須磨区)で保守車両同士が衝突脱線した事故で、JR西日本は2010/07/26、内部調査の内容を公表した。
追突したトンネル保守車両には、正常に作動しなかった衝突防止装置の他に、車両接近警報装置と居眠り防止装置が設置されていたが、2つとも電源が入っていなかったことがわかった。JR西日本は「3種類の安全支援装置が本来の機能を果たせなかった。非常に重大なことと受け止めており、徹底的に原因を解明したい」としている。
真野辰哉・新幹線統括部長らの説明によると、接近警報装置は約500〜700mに接近した際、電波を検知し、警報を発する装置。自動的に非常ブレーキをかける機能はついていない。また、居眠り防止装置は、運転手が一定時間内に運転操作などを行わなかった場合に、警報や非常ブレーキが作動する。
JR西日本が事故後、追突した車両を調べたところ、接近警報装置と居眠り防止装置双方に電源を供給するブレーカーが落ちていた。運転手(27)は「接近警報装置は事故の約15分前の新神戸駅では作動したが、事故現場では警報は鳴らなかった」と証言。JR西日本は事故までの約15分間に何らかの原因でブレーカーが落ちたとみている。
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山陽新幹線保守車両追突脱線事故:JR西日本、警察官を1時間足止め <神戸新聞 2010/07/26>を添削
山陽新幹線須磨トンネル(神戸市須磨区)で起きた保守用車両の追突脱線事故で、現場近くに着いた須磨警察署員が、JR西日本関係者に「線路内に入れない」と説明され、約1時間、現場に近づけなかったことが2010/07/25、捜査関係者などへの取材で分かった。警察署員らの待機中、追突された車両が移動されていた。JR西日本は「安全確保のため」と説明している。
捜査関係者によると2010/07/22 06時前、JR西日本の通報で現場が判明。06時すぎに須磨警察署員がトンネル付近に到着したが、作業員が「安全のため入れない」と警察署員の線路進入を断った。JR西日本によると、トンネル付近にいた作業員は保線担当のJR西日本社員。現場への案内には見張り用に社員がもう1人必要だったため、別の社員を呼ぶまでの間、待機を要請した。営業運転中の事故なら指令が付近の電車を止めるため、見張り要員は不要。
須磨警察署らが線路内に入ったのは発生から2時間半後の07時すぎで、その後現場保存などを行い、10時ごろまで実況見分を行った。
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山陽新幹線新神戸駅〜西明石駅での保守用車の追突について <JR西日本WEBサイト 2010/07/26>を添削
2010/07/22山陽新幹線新神戸駅~西明石駅での保守用車の追突について、関係者の聞き取り調査を実施しましたので、現段階までの調査で判明した内容についてご報告します。
詳細
1 関係者への聞き取り内容など
(1)レール削正車の位置の認識
・追突した保守用車の運転者(「当該運転者」)は追突されたレール削正車が追突現場より約2900m遠方である作業区間の西端(博多方:560k800m付近)にいるものと思っておりました。なお、当該運転者はレール削正作業に反復移動があることは知っていたと述べております。
・当該運転者は保守用車接近警報装置の鳴動によりレール削正車の停止位置を把握できると考えていました。当日工事の出発時では鳴動したものの、追突現場では鳴動していないと述べております。また、レール削正車側の関係者も保守用車接近警報装置は鳴動していなかったと述べております。
※注釈:基地収容後の確認で、追突した保守用車の保守用車接近警報装置に電源を供給するブレーカーが落ちていることを確認しました。
※注釈:新幹線の保守用車には衝突防止などの支援装置として「保守用車衝突防止装置」の他に、「保守用車接近警報装置」「居眠り防止装置」などの支援装置を設置しております。
(2)速度
・当該運転者は、須磨トンネル入口(追突現場から約1600m手前)までは上り勾配であり今回の編成では時速40km以上は出にくいが、その後の下り勾配においては時速40kmから50kmで走行したと述べております。
※注釈:保守用車衝突防止装置の記録では、追突現場から約2300m手前までの上り勾配を含む区間で最高時速34km、その後の下り勾配区間では時速45km(追突現場から約1700m手前)および時速47km(追突現場から約900m手前)でした。
(3)ブレーキ
・追突した保守用車の責任者は、レール削正車が100m程度向こうに見えたので当該運転者に止まるように指示したうえで間に合わないと思い非常ブレーキおよび手ブレーキの措置を行ったと述べております。
・当該運転者は、レール削正車を200mから300m手前で発見してブレーキを操作し、50m手前で保守用車衝突防止装置の「接近注意」、「停止、停止」が鳴動し、ブレーキが動作したと述べております。
※注釈:追突した保守用車の保守用車衝突防止装置の記録では、当日工事の着手時に行った西明石駅の入換えの際に、360m程度離れたレール削正車を認識しております。
※注釈:保守用車衝突防止装置は、保守用車間の距離と速度に応じて「接近注意警報」、「停止警報」、「ブザーによる警報および自動ブレーキ」を出力する仕様でありますが、追突現場付近の記録では117m手前で同装置が作動しました。この時の速度は時速34kmであり、「ブザーによる警報および自動ブレーキ」を出力した旨記録されております。
2 原因究明
(1) 直接原因
現地での再現試験やさらなる関係者への聞き取り調査などにより、徹底的に原因究明を行い必要な対策を講じます。
(2) 背後要因
保守用車の取り扱いの実態などを調査し、保守用車に伴う課題を洗い出し必要な対策を講じます。
3 保守用車に関する当面の対応策
・保守用車の全ての責任者および運転者に対して、制限速度の遵守や視界が悪い際の減速、続行運転時の車間距離の確保など、保守用車運転に関する基本事項、ならびに保守用車衝突防止装置などの機能に関する再教育を実施したうえで従事することとしました。
・保守用車の全ての責任者および運転者を対象に、再教育の実践状況確認のための安全パトロールを実施しています。
・全ての保守用車の保守用車衝突防止装置などを対象に一斉点検を実施したうえで使用しています。
4 その他
レール削正車の博多方の運転者は、当日肩の痛みを認めて病院を受診しており、その後当社に報告がありました。
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山陽新幹線保守車両追突脱線事故:JR西日本、通報でミス連発 <神戸新聞 2010/07/25>を添削
山陽新幹線須磨トンネル(神戸市須磨区)で起きた保守用車両の追突脱線事故で、JR西日本から兵庫県警に正確な事故現場が伝わったのは、発生から1時間半後だったことが2010/07/24、兵庫県警への取材で分かった。JR西日本は現場を管轄しない垂水警察署に通報したり、現場の住所を把握していなかったりなどと、初歩的なミスを連発。兵庫県警は現場の特定に難航し、初動などに影響したとみられる。
兵庫県警によると、事故は2010/07/22 04:20頃発生。JR西日本の山陽新幹線地区指令が05:00すぎ、「トンネル内で新幹線の保守車両の事故が発生。怪我人はないが、新幹線は不通」と垂水警察署に通報した。発生場所については、兵庫県警が「トンネル名は分からない」と聞いたとし、「須磨トンネルと伝えた」とするJR西日本と食い違っている。その後、兵庫県警がJR西日本に問い合わせたが「詳細は不明」と回答。05:44、JR西日本から再度、垂水警察署に電話があり、事故から約1時間半後にようやく現場が須磨トンネルと特定された。本来の管轄は須磨警察署だった。
JR西日本によると、マニュアルには須磨トンネルの事故の通報先として垂水警察署が記載されるミスがあり、垂水警察署にかけた。さらに、JR内だけで使用する専用電話の番号を指令の番号として垂水警察署に間違って伝えた。このため、垂水警察署が電話してもつながらなかった。また、事故が起きた位置は、東京駅を起点とした距離のキロ程の数字でしか把握しておらず、現場の住所を県警に伝えられなかった。
須磨警察署が、管内に事故現場があると分かったのが午前6時前で、その後捜査員を派遣。実況見分は午前9時ごろから始まったが、衝突した車両はすでに現場から移動されていた。
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山陽新幹線保守車両追突脱線事故:「前方車両の赤灯視認」運転士 <神戸新聞 2010/07/24>を添削
山陽新幹線須磨トンネル(神戸市須磨区)で起きた保守用車両の追突脱線事故で、追突した保守作業用車両(8両編成)の運転士(27)が須磨警察署などの調べに「警報音が鳴る前に、トンネル内で赤いランプが見えたが、(追突されたレール削正車は)もっと先にいると思っていた」などと供述していることが2010/07/24、捜査関係者への取材で分かった。須磨警察署などは運転士が前方の車両に気づきながら、作業工程の認識不足などから注意を怠った結果、追突した可能性もあるとみて調べる。
捜査関係者によると、運転士は「(事故現場周辺は)何もなければ1km先まで見える」と説明。普段から前方を目視で確認していたとみられる。JR西日本によると、レール削正車は当時、現場付近の約5kmの区間を3往復してレールを研磨。工程表にも「反復移動有り」と明記されていた。須磨警察署などは運転士がこうした工程を十分に把握していなかったため、赤いランプを見ても前方車両と気づかなかったのではないか、とみている。
須磨警察署などは2010/07/24までに、事故車両の実況見分を行い、作業工程表や走行データを押収。今後、車両に乗車していたほかの作業員からも事情を聴き、運転士の供述の裏付けを進める。
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山陽新幹線保守車両追突脱線事故:作業工程を誤認識か 新幹線保守車追突の運転士 <神戸新聞 2010/07/24>を添削
山陽新幹線須磨トンネル(神戸市須磨区)内で保守用車両が追突脱線した事故で、追突した保守作業用車両(8両編成)の運転士(27)が、須磨警察署などの調べに対し、「(事故現場から)5km先で他の車両と待ち合わせをする予定だった」と供述していたことが分かった。追突された保守用車両(2両編成)に乗っていた作業員も同様の発言をしている。須磨警察署などは、運転士が前方の車両を認識しながら、作業工程を十分に把握していなかったことが事故につながった可能性もあるとみて、運転士らから事情を聴く。
須磨警察署などによると、事故があった2010/07/22未明、現場付近の上り線では、追突した保守車両と追突された車両の他、別の1車両が作業をしていた。
追突した車両の運転士は須磨警察署などの調べに、「3つの車両が作業を終えて(事故現場から)5km西側で集合、一緒に西神戸保守基地に入る予定だった」と供述。追突された車両の作業員も「04:20に待ち合わせをしていた。04:15に作業を終え、向かう直前だった」と話している。
追突した車両の運転士は、JR西日本のグループ会社「大鉄工業」(大阪市)の協力会社「エーエムジー工業」社員で、JR西日本の社内資格を得て3年前から従事していた。須磨警察署の調べに運転士は「いつも時速40〜50kmで走行していた」とも供述。この運転士が運転できる車両の制限速度は時速40〜70kmで、多くは時速40kmに規定。須磨警察署は速度超過が常態化していた可能性もあるとみて、事故との関連を調べている。
須磨警察署などは2010/07/23午後も、神戸市西区の西神戸保守基地で実況見分を実施。車両を動かして前方の車両との距離を縮め、衝突防止装置が正常に作動するかなどを調べた。
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山陽新幹線保守車両追突脱線事故:追突の保守車両は全員孫請け社員「前見ず運転」 <MSN産経 2010/07/23>を添削
山陽新幹線のトンネル内で保守車両同士が追突した脱線事故で、追突した車両の乗員3人が全員、孫請け会社の社員だったことが2010/07/23、JR西日本への取材で分かった。また兵庫県警は2010/07/23、前日に引き続き神戸市西区の車両基地で事故車両の実況見分を実施。午後にも事故車両を使い、衝突防止装置が機能したかどうかを調べる。
JR西日本などによると、孫請け会社は エーエムジー工業(大阪府茨木市)。JR西日本はトンネルの保守工事をグループ会社の大鉄工業に委託、さらにエーエムジー工業に下請けに出された。エーエムジー工業とJR西日本には出資関係はないが、JR西日本はエーエムジー工業の受注について問題はないとしている。
追突した保守車には、運転手(27)、責任者(64)、オペレーター(61)のエーエムジー工業の男性社員3人が乗車。運転していた社員は3年前に保守車の操縦資格を取得し、月間数回〜10回程度、操縦している。兵庫県警に対し「作業を終えたため約5km先の車両基地に向かうつもりだった」「手動と非常のどちらのブレーキで減速したか分からない」「前をよく見ていなかった」とも話している。
一方、JR西日本は赤外線で車両間の距離を関知する衝突防止装置が正常に機能していなかったと説明しており、兵庫県警は装置の不具合や人為的ミスもなかったかどうかを調べる。
なお、JR西日本はこれまでに事故車両と同様の衝突防止装置装置を搭載する車両37両を調べたところ、異常はなかったことが判明したと発表した。
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山陽新幹線保守車両追突脱線事故:JR西日本と作業員で主張食い違い <神戸新聞 2010/07/23>を添削
事故はなぜ起きたのか。
山陽新幹線の保守用車両が追突脱線した事故で、JR西日本は2010/07/22夜、衝突した保守作業車両(8両編成)に備えられていた衝突防止装置の記録を公表した。運転していた作業員の速度超過や、装置が本来の機能を果たしていなかったことが判明したが、須磨警察署の捜査に対する作業員の供述との食い違いもみられた。
真野辰哉・新幹線統括部長と国広敏彦・施設部長が出席。
JR西日本の説明によると、衝突防止装置の記録からは、運転士が事故現場の手前900mを時速47kmで走行、制限速度を7km超過していたことなどが判明した。
衝突防止装置は、先行車両の後部から発せられた赤外線を感知し、その距離が300m以内に近づくと警報が鳴ったり、非常ブレーキがかかったりする仕組み。だが、今回は136m手前まで検知が遅れ、約1秒後に非常ブレーキがかかった。
JR西日本は「大雨で検知が遅れることは認識していた」とするが、今回の遅れについては「今後、詳しく調べたい」と繰り返した。
一方、国広敏彦・施設部長は「装置はあくまでも補助であり、基本は運転士の目視」と強調。「鉄を削る作業で粉塵が舞い、視界が悪くなることもあるが、今回はすでに作業を終えており、目視確認が可能な状態だった
と思う」とし、「砂ぼこりで前が見えなかった」という運転士の供述とは異なる見解を示した。
衝突防止装置では、JR東海が2006年、衛星利用測位システム(GPS)で車両のより正確な位置を測定し、速度超過をしても50m手前で自動停止する装置を導入している。
真野辰哉・新幹線統括部長は装置の改善策について「(管内は)トンネルが多い。不具合があれば改善する」と述べるにとどまった。
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山陽新幹線保守車両追突脱線事故:衝突防止装置が作動遅れ <神戸新聞 2010/07/23>を添削
山陽新幹線:新神戸〜西明石の須磨トンネル(神戸市須磨区)で起きた保守用車両の追突脱線事故で、JR西日本は2010/07/22、追突した保守車両(8両編成)に搭載した衝突防止装置が、本来なら前方の車両を300m手前で検知するはずなのに、136m手前で検知していたことを明らかにした。追突した車両が制限速度を超えていたことも判明した。JR西日本は作業員から事情を聴き、事故原因や同装置の作動の遅れを探る方針。
須磨警察署も業務上過失往来危険容疑も視野に2010/07/23朝から実況見分をし、車両の走行データなども調べる。
JR西日本は追突車両から記録装置を回収、記録を分析した。その結果、衝突防止装置は追突した車両が事故現場の136m手前を時速36kmで走ったことを検知していたことが判明した。1秒後の117m手前の地点で非常ブレーキがかかったが、減速が間に合わず、前方で停車中の保守車両(2両編成)に追突した。
衝突防止装置は通常、前方の車両の300m手前まで接近した時点で時速30kmを超えていれば、自動的に非常ブレーキがかかる設計になっているが、今回は300m手前では作動しなかった。
また、追突車両は現場の手前約900mの地点を時速47kmで走行し、制限速度を7km超えていた。500m手前の地点でも、制限速度の時速30kmを上回っていたとみられる。
追突した車両の運転士(27)は須磨警察署の調べに対し、「『停止』の警報は聞いたが砂ぼこりで前が見えず、50mほど手前で気付き、ブレーキをかけたが間に合わなかった。非常ブレーキがかかった認識はない」と供述している。
一方、国土交通省近畿運輸局は2010/07/22、JR西日本に原因の究明や再発防止策を講じるよう文書で指導した。
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山陽新幹線保守車両追突脱線事故:衝突防止装置動かず? 過去に同様な事故で設置 <神戸新聞 2010/07/22>を添削
山陽新幹線では、これまで保守用車両による追突事故が1990年代に2件発生している。JR西日本は事故後、保守用車両に衝突防止装置を付けたが、今回、作動したのかどうか、JR西日本は「確認できていない」としている。
1998/09/03、相生〜岡山のトンネルで、敷石散布車に保守点検用作業車が追突、作業車が脱線し、作業員各3人が重軽傷を負った。作業員の居眠りが原因だった。1999/09/27には今回と同じ新神戸〜西明石で、保守用車両同士の追突事故が発生。作業員各3人が重軽傷を負った。
JR西日本によると、夜間の保守作業では、車両の運転士の目視が基本。ただ、事故の教訓から作業車両の衝突を防ぐため、ほかの車両などが300m以内に近づくと警報が鳴ったり、非常ブレーキがかかったりする衝突防止装置を設置した。にもかかわらず、保守用車両による衝突事故が起きた。
2010/07/22午前に記者会見した真野辰哉・JR西日本鉄道本部新幹線統括部部長は、衝突防止装置について「常時作動している」。JR西日本は、装置が正常に機能したかどうか急ぎ調べる。
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山陽新幹線:須磨トンネル内で保守用車両追突 新大阪~姫路が不通 <各新聞を基に 2010/07/22>
2010/07/22 04:20頃、山陽新幹線 西明石~新神戸の須磨トンネル(神戸市須磨区)内上り線で、トンネル保守用車両(8両編成)がレール保守用車両(2両編成)に追突、8両のうち2両が脱線した。怪我人はなかった。
山陽新幹線は上下線とも始発から新大阪〜岡山で運転を見合わせた。姫路〜岡山では運転を再開したが、新大阪〜姫路で不通となり、復旧のめどは立っていない。東海道・山陽新幹線は東京〜新大阪と姫路〜博多でそれぞれ折返し運転をしている。
現場は西側出口から約800m、東側出口から約1.6km。トンネル内の上り線でレールを削る作業をしていた保守車両(2両編成)の後方に、作業を終え基地に戻る途中のコンクリート補修車(8両編成)が追突。補修車のうち、タンクやミキサーを積んだ3両目と4両目が脱輪した。JR西日本のグループ会社「大鉄工業」の所有で、トンネルの天井裏にコンクリートを注入する作業をする車両。2両が脱輪した上、車両は各10tと重く、撤去作業は難航。復旧の見通しは立っていない。
保守車両には通常、衝突防止装置が搭載されており、車両が約300m以内に接近するとブザーが鳴り、ブレーキがかかる。今回は装置が作動しなかったとみられる。
兵庫県警須磨警察署によると、追突したトンネル保守車に乗っていた作業員は「レールの保守作業で埃が舞い上がっており、前が見えなかった」「『停止、停止』と警報音が鳴った。前を見たが砂ぼこりで見えず、ブレーキをかけたときには50mぐらいまで接近し、間に合わなかった」と説明している。
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