DMV:天浜線で実証 試乗客も楽しそう ローカル線復活に期待--体験乗車 <毎日新聞静岡 2009/02/08>を添削
◇記者がDMV体験乗車
鉄道と道路の両方を走行できるDMV(デュアル・モード・ビークル)の実証実験が2009/01/31から3日間、第3セクターの天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区)天浜線の一部区間であった。試乗モニターには定員の約3倍の384人が応募するほどの人気ぶり。私も市民に交じってDMVに体験乗車してみた。
DMVは、道路を走るためのゴムタイヤと、鉄道軌道を走るための車輪を持っている。利用者が少ない地域で、合理的に輸送するために考え出された車両だ。
車両は外見からは普通の黄色いマイクロバスのよう。定員は25人。私は三ケ日駅で乗り込み、後ろから2列目の座席に着いた。すぐに鉄道車両への変身のための施設「モードインターチェンジ」に進み、ゆっくりと停止。「ガタン」と一瞬衝撃があり、鉄製の車輪が下りて、車体の前方が持ち上がった。後ろのゴムタイヤはレールの上に乗ったままで、DMVを駆動する仕組みだ。1分程度でバスから鉄道車両へのモードチェンジが完了し、集まった多くの見学者から歓声が上がった。
線路を走り始めると、足元から「ゴトンゴトン」と振動が伝わってくる。「レールの継ぎ目で振動がくる」「電車の乗り心地とは違うね」。同乗者の感想も乗り心地に関するものが多かった。
5駅先の西気賀駅手前で、運転士が交代し、2回目のモードチェンジ。今度は公道を走行し、車窓から夕日に赤く染まる奥浜名湖を見ながら三ケ日駅に戻った。
沿道や途中の駅で、カメラを構える人や手を振る親子連れが多かったのが印象的だった。試乗した浜松市中区の男性(59)は「乗ること自体が動機になる。観光の呼び水になるのでは」。京都市から試乗のために来た男性(47)は「乗換えの手間が省け、便利だと思う」と、DMVの可能性に期待していた。
DMVを開発したJR北海道の副社長 柿沼博彦は「ローカル鉄道もバスもそれだけでは生き残れない。それらが進化したのがDMV」と話している。天浜線にDMVが導入されるかは未定だが、車両を見つめる楽しそうな人々の顔に、利用者減に苦しむ天浜線を復活させる一つの可能性を見た思いがした。
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