神戸の路面電車復活調査 次世代型 全市域対象に <神戸新聞 2014/1/3 06:30>を編集
神戸市が2014年度から、次世代型路面電車LRT導入の可否について、全市域を対象に調査・検討に乗り出す方針であることが分かった。人口減少、超高齢化社会に対応した交通機関として可能性を探る。神戸では1971年まで市街地を走る市電が市民の足だったが、車社会の波に押され姿を消した。再び路面電車が優雅に走る光景がよみがえるか。(黒田勝俊、田中陽一)
LRTについて、2013/11に就任した神戸市長の久元喜造(59)は市長選の公約で導入検討を掲げていた。阪神淡路大震災で悪化した神戸市の財政は、前市長・矢田立郎の行革により全国の政令市の平均程度まで回復。これを受け、久元は都心部の再整備とともに、新たな交通ネットワークの形成に意欲を見せている。
久元は神戸新聞社の取材に対し「1年以内に策定を目指す都心再生プランにLRTを入れる可能性は排除しない」と言及。「都心の道路はかなり混雑している。LRTはあまり坂道に適さない。道幅が狭い場所も駄目」と課題点を指摘しつつも「全市の中でどこで走らせるのが一番効果的か、という観点から2014年度中には検討したい」としている。
LRTは1980年前後から欧州などで普及。従来の路面電車と比べて高速運転ができる上、車両の床が低く振動・騒音も少ないため、高齢者や障害者らも乗りやすい。二酸化炭素排出量の削減にもつながり、地下鉄やモノレールなどに比べて建設コストも抑えられる、とされる。
日本では富山市で2006年、車に依存しないコンパクトな街づくりの一環として全国初の本格的LRT「富山ライトレール」が導入された。岡山市、広島市などの路面電車も一部がLRT化されている。
神戸市も2007年、路面電車に見立てたバスを都心部で走らせ、影響を調べる社会実験を実施。神戸市議会でもかねて「LRTそのものが観光資源になる」として要望する声があるが、自動車交通や既存交通機関への影響、採算性などの課題もある。
PR