酔って線路に一直線 ホーム転落事故の9割 JR西日本が調査 <神戸新聞 2015/3/24 15:00>を編集
酔った客が駅のホームから線路に転落する事故が増える中、JR西日本安全研究所が過去2年の事故映像を調べた結果、「突然線路に向かって転落する」傾向が約9割に上ることが分かった。千鳥足でふらふらと落ちるイメージとは違い、担当者も驚きの結果に。JR西日本は結果をもとに、ベンチの位置を変えるなど防止策に本腰を入れる。
ホームでの鉄道人身障害事故は全国的に増加。国土交通省によると2003年度の106件に対し、2013年度は221件と倍増している。そのうち酔客による事故は132件で、10年で4倍に激増している。
酔客の事故を科学的に分析できないか。尼崎JR宝塚線脱線事故を教訓に設立され、ヒューマンファクター(人的要因)を研究する安全研究所が2年前から調査に乗り出した。JR西日本の京阪神エリアと大阪市交通局の路線に設置された防犯カメラの映像を収集。酔客の線路転落や電車接触の様子などが写った映像を2015年1月までで136件抽出し、事故に至る直前の行動を分析した。
その結果、「ホーム上の酔客が突然線路に向かってまっすぐ歩き始め、そのまま転落する」が約6割を占めた。「立った状態から突然バランスを崩して転落する」が約3割。当初、多いと思われていた「ホーム端を線路と平行にふらふら歩き、足を踏み外す」は約1割にとどまり、意外な傾向が浮き彫りになった。
「想定外の結果。大半が動きだして数秒で転落している」と安全研究所研究員の辻野直良(37)。駅業務部企画課担当課長の川上賢介(45)も「漫然と注意するだけでなく、新たな対応が必要と分かった」と話している。
JR西日本は手始めに、新大阪駅ホームのベンチの向きを、座った時に線路と平行になるよう置き換えた。ベンチで座ったり、寝込んだりした酔客が突然立ち上がっても、線路までの距離を遠くすることで、事故を未然に防ぐ狙いだ。
また、転落の傾向などを記した「見守りハンドブック」を作成して駅員に配布。三ノ宮駅など乗降客の多い京阪神の10駅には警備員を配置し、声かけや見守りを強化している。
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