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近畿圏の高速道路新料金 2017/06移行へ <2016/12/26 21:19 神戸新聞NEXT>を編集

 国土交通省が近畿圏の高速道路の新料金案を示したことを受け、阪神高速道路や西日本高速道路などは2016/12/26、新料金への移行時期を2017/06とする具体案を発表した。道路会社や路線によって異なる料金水準を36.6円/kmの対距離制に統一。阪神高速は、現行の普通車510~930円を普通車300~1300円にする。

 阪神高速道路、西日本高速道路と日本高速道路保有・債務返済機構は、2016/12/26~2017/01/10に具体案へのパブリックコメント(意見公募手続き)を実施。利用者の声を聞いた上で、兵庫県や神戸市など、関係5府県市の議会の同意を得て決定する。

 新料金案には、
▽利用距離が4.3km以下なら下限の300円に据え置く
▽車種区分を2車種から5車種に変更
▽発着地が同じならルートが異なっても同一料金
▽大口・多頻度割引の継続、拡充
なども盛り込まれている。

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近畿圏の新たな高速道路料金に関する具体方針(案)<2016/12/16 国土交通省 報道発表資料>道路局 高速道路課 から抜粋編集

近畿圏の高速道路の料金体系については、社会資本整備審議会 道路分科会 国土幹線道路部会の基本方針(平成28年9月13日第25回部会で案を公表)において、大都市圏共通の理念である「料金の賢い3原則」を基本として新しい料金体系を確立することが必要であり、とりわけ、高速道路を賢く使う上で必要なネットワークの充実と賢く使うための合理的な料金体系の整理との両立や、高速道路として一体的なネットワークを形成している路線における管理主体の整理について、特
段の対応が必要とされたところである。
これ以降、近畿圏の関係自治体において新たな高速道路料金について議論がなされ、先般、国土交通省に対して、料金体系の具体的な提案がなされたところである。これらの具体的な提案を踏まえ、今後のネットワーク充実のための財源確保も念頭に、円滑な交通処理や確実な債務償還も考慮しながら、近畿圏の高速道路がより効率的に賢く使われるよう、料金に関する具体方針(案)を以下のとおりとりまとめる。

1.平成29年度からの具体方針

(1)料金体系の整理・統一とネットワーク整備
阪神高速の料金水準については、現行の高速自動車国道の大都市近郊区間の水準を基本とする対距離制を導入するが、関係自治体の提案を踏まえ、淀川左岸線延伸部及び大阪湾岸道路西伸部の整備に必要な財源確保の観点から、有料道路事業について、事業費の概ね5割を確保するために、必要な料金を設定する。この際、利用者の追加的な負担の軽減の観点から、様々な工夫(出資金の償還時期の見直しや料金徴収期限までの追加的な料金負担分の活用等)を行う。

また、物流への影響や非ETC車の負担増などを考慮して、当面、上限料金などを設定する。その際、短距離利用の促進により並行一般道の渋滞削減等を図る観点から、利用距離が4.3km以下(1区間利用に限る)であれば下限料金で利用できる措置を行う。併せて、物流を支える車の負担が大幅に増加しないよう、現行の大口・多頻度割引について、当面、継続するとともに、大阪都心部及び神戸都心部を通行しない交通については拡充する。また、国道43号の沿道環境改善などのため、現行割引のうち、環境ロードプライシング割引や西大阪線に係る割引などについては継続する。

ネクスコ西日本の路線の料金水準についても、現行の高速自動車国道の大都市近郊区間の水準を基本とする対距離制を導入するが、現在、均一料金となっている近畿道、阪和道、西名阪、第二京阪については、物流への影響や非ETC車の負担増などを考慮して、当面、上限料金などを設定する。このうち、現行の割高な料金水準を引き下げることになる第二京阪については、債務の確実な償還の視点やネットワーク整備に必要な財源確保の観点等も踏まえ、大都市近郊区間の料金水準に段階的に引き下げる。

車種区分については、5車種区分へ統一を行うが、新しい車種区分及び車種間料金比率に円滑に移行するため、負担増などを考慮して段階的に実施する。

(2)管理主体の統一も含めた継ぎ目のない料金の実現
高速道路会社と一体的なネットワークを形成している路線で、地方道路公社等の管理となっている区間は、合理的・効率的な管理を行う観点から、地方の意向を踏まえ、高速道路会社での一元的管理を行う。

具体的には、新たな料金の導入を踏まえ、まずは大阪府道路公社の南阪奈有料道路及び堺泉北有料道路を速やかにネクスコ西日本に移管し、阪和道や南阪奈道路等との一元的管理に移行する。また、第二阪奈有料道路(大阪府道路公社及び奈良県道路公社の管理)などについても、早急に、一元的管理の具体的な成案を得ることとし、引き続き一元的管理の検討・調整を行う。

また、阪神高速京都線の油小路線及び斜久世橋を速やかにネクスコ西日本に移管し、第二京阪や名神高速等との一元的管理に移行する。阪神高速京都線の新十条通は京都市に移管して無料で利用できるようにする。

これらの路線の移管に際し、料金体系については、(1)の考え方に従い、現行の高速自動車国道の大都市近郊区間の水準を基本とする対距離制を導入するが、現在、均一料金となっている南阪奈有料道路、堺泉北有料道路及び阪神高速京都線については、物流への影響や非ETC車の負担増などを考慮して、当面、上限料金などを設定する。このうち、現行の割高な料金水準を引き下
げることになる阪神高速京都線については、接続する第二京阪との連続性や債務の確実な償還の視点等も踏まえ、第二京阪と同様に、大都市近郊区間の料金水準に段階的に引き下げる。また、現行の割引は廃止する。

また、ネットワーク整備の課題と相俟って、都心部の流入交通の経路選択等に偏りが発生し、これにより特定の箇所に過度な交通集中を招いていること等を踏まえ、大阪及び神戸都心部への流入に関して、料金面で不利にならないよう、交通分散の観点から、経路によらず起終点間の最短距離を基本に料金を決定することとする。

2.新たな高速道路料金の実施時期
新たな高速道路料金については、地方議会の議決など導入にあたって必要となる手続きや広く利用者への周知期間を考慮して、平成29年度の早い時期より実施する。
管理主体の統一を伴うもの等については、移管の手続き等を関係者で協力して進め、準備が整ったものから、平成30年度以降に順次実施する。なお、管理主体の統一までの間については、基本的に割引料金を含め現行の料金を継続するものとする。

3.その他

(1)戦略的な料金の導入など今後の取組
平成29年度以降順次、阪神高速大和川線や淀川左岸線の開通などの節目を念頭に、料金体系の確立に向けたロードマップを明らかにした上で、道路ネットワークの整備の進展に合わせて導入を行う。また、その交通に与える影響を検証した上で、対象となる路線や時間帯などを区切り、交通状況に応じた料金施策を導入することとする。

第二神明など神戸市以西の高速道路の料金体系についても、神戸西バイパスなど兵庫県内のネットワーク整備の観点も踏まえ、早急に見直しの成案を得ることとし、引き続き検討・調整を行う。

京都縦貫自動車道など日本海側と太平洋側との連携も視野に入れるとともに、京奈和自動車道など関西全体を広域的に俯瞰して、料金体系等の検討を進める。

(2)ETC2.0の普及促進
ETC2.0の早期普及のため、本具体方針(案)に基づく施策をはじめ、ETC2.0の普及促進を進める料金施策の導入を検討するとともに、関係機関とも調整の上、車載器の購入助成の実施も検討する。

別紙
近畿圏の高速道路ネットワークにおける管理主体の統一

平成30年度以降に実施予定
○ 大阪府道路公社:南阪奈有料道路、堺泉北有料道路→ネクスコ西日本に移管(H30/04)
○ 阪神高速京都線:油小路線・斜久世橋→ネクスコ西日本に移管(H31/04)
○ 阪神高速京都線:新十条通→京都市に移管して無料に(H31/04)
注)南阪奈有料道路、堺泉北有料道路、油小路線・斜久世橋 及び 南阪奈道路は全国路線網に編入する

車種区分
阪神高速が2車種(普通車、大型車)であるものを、ネクスコ西日本の5車種(軽自動車・二輪、普通車、中型車、大型車、特大車)に変更

近畿圏の新たな料金の具体事例③
【柳原→(3号神戸線)→生田川 (4.6km)】
 現行510円→新料金420円(△90円)

【月見山→(3号神戸線)→生田川 (10.0km)】
 現行510円→新料金590円(80円増)

【伊川谷JCT→(3号神戸線)→生田川 (22.5km)】
 現行720円※→新料金800円(80円増)

【南芦屋浜→(5号湾岸線・3号神戸線)→生田川 (5.9km)】
 現行510円→新料金460円(△50円)
 「住吉浜→摩耶」は一般道を乗り継ぎ

【西宮IC→(3号神戸線)→生田川 (15.1km)】
 現行610円※→新料金750円(140円増)

【からと西→(7号北神戸線・32号新神戸トンネル)→国道2号 (12.9km)】
 現行610円※→新料金680円(△40円)

【西宮山口JCT→(7号北神戸線・32号新神戸トンネル)→国道2号 (22.6km)】
 現行720円※→新料金990円(170円増)

 ※ 西線内々割引適用後の料金

近畿圏の新たな料金の具体事例⑪
 神戸都心部への流入に関して、交通分散の観点から、経路によらず起終点間の最短距離を基本に料金を決定

【第二神明 玉津IC→阪神高速 3号生田川/32号国道2号】
イ:7号北神戸線・32号新神戸トンネル経由(29.5km)
 現行820円※→新料金1,120円(300円増)→特別措置※1 800円(△20円)
ロ:7号北神戸線・31号神戸山手線経由(28.1km)
 現行820円※→新料金1,080円(260円増)→特別措置※1 800円(△20円)
ハ:3号神戸線経由(25.3km)
 現行720円※→新料金800円(80円増)

 ※ 西線内々割引適用後の料金
 ※1 経路によらない同一料金の適用

【阪神高速 7号 前開→3号生田川/32号国道2号】
イ:7号北神戸線・32号新神戸トンネル経由(21.9km)
 現行720円※→新料金970円(250円増)→特別措置※2 800円(80円増)
ロ:7号北神戸線・31号神戸山手線経由(20.5km)
 現行720円※→新料金920円(200円増)→特別措置※2 800円(80円増)

 ※ 西線内々割引適用後の料金
 ※2 阪神高速7号北神戸線の伊川谷JCT~箕谷JCT間の出入口から、31号神戸山手線or32号新神戸トンネルを経由して神戸都心部に流入する場合、第二神明の玉津ICから神戸都心部に流入した場合の最低料金を上限料金とする。

注)料金はETC車(普通車)の場合
注)西線内々割引は、新たな料金の導入までの措置とする




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近畿の高速道、距離別料金に統一 2019年度から <2016/09/28 12:20 産経WEST>を編集

 阪神高速を含めた近畿圏の高速道路は料金体系が複雑で分かりにくく、抜本的に見直されることになっている。国土交通省は、均一料金区間と距離に応じて料金を課す区間が混在するなど管理主体や路線ごとに異なる料金体系を、2017年度中に距離に応じた料金に統一する方針を決定。大阪、神戸の各都心部では発着地が同じなら、どのルートを通っても同一料金になる。将来的には、渋滞が発生する曜日、時間帯に都心部を避けて通過するルートの料金を割安にする制度も導入される予定だ。

 国交省の社会資本整備審議会の部会は2016/09/13、近畿圏の高速道路料金の見直しに関する基本方針をまとめた。近畿圏には高速道路会社2社が管理する高速道路と、地方道路公社が整備した有料道路が混在。路線ごとに均一、対距離制など料金が異なる。部会は基本方針で、利用者の公平性のため距離に応じて料金を課す体系に改めることを明記した。

 現在は、高速会社の区間と道路公社の区間をまたぐたびに、鉄道の初乗り運賃に相当する料金が加算され、料金総額に割高感がある。見直し後はこうした加算を廃止。そのために道路公社が管理する有料道を西日本高速道路会社へ移管する方針だ。

 ルートが異なっても出入口が同じなら同一料金とする方式は、慢性的に渋滞が発生する大阪、神戸両都心部へ向かう路線が対象。交通量を分散するため、時間帯や曜日を区切り、都心部を通過するルートよりも都心部を避けるルートの料金を安くする仕組みも将来的に導入する。

 料金体系の変更は一足先に首都圏で始まり、都心部の高速と、並行する一般道の渋滞が緩和される効果が出ている。

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国土交通省 社会資本整備審議会 第25回国土幹線道路部会 配付資料
資料4 社会資本整備審議会 道路分科会 国土幹線道路部会
近畿圏の高速道路を賢く使うための料金体系 基本方針(案) 平成28年○月○日

はじめに
 本部会では、高速道路ネットワークの効果的・効率的な利用に向けて、平成27年7月の『高速道路を中心とした「道路を賢く使う取組」』の中間答申において、道路をより賢く使うための取組・首都圏の高速道路を賢く使うための料金体系 について方向性を示したところである。
 これを受け、首都圏において、圏央道等の整備進展を踏まえ、料金体系の整理・統一など利用重視の料金への転換を図ることとし、平成28年4月に新たな高速道路料金を導入したところである。その結果、都心通過から外側の環状道路へ交通が転換することで都心部の渋滞緩和が見られるなど、これまでに高速道路を賢く使う観点で一定の効果を確認している。
 首都圏とともに日本経済を牽引する近畿圏においても、高速道路を賢く使う観点で、その料金体系について、地域固有の課題等を踏まえながら議論を進める必要性があると認識しており、平成27年7月の中間答申以降、こうした認識の下、関係団体へのヒアリング等を通じて、様々なご意見を頂いた上で、本部会として、近畿圏の高速道路を賢く使うための料金体系の基本方針(案)としてとりまとめたものである。

1.近畿圏の将来像と高速道路を取り巻く環境
(1)近畿圏の役割・機能と現状 (略)
(2)近畿圏の将来像とその戦略 (略)
(3)近畿圏において高速道路に求められるもの (略)

2.近畿圏の高速道路を賢く使うための料金体系
 首都圏の高速道路については、本部会による中間答申(平成27年7月)を受け、平成28年4月に首都圏の新たな高速道路料金を導入し、これまでに都心部の渋滞緩和など高速道路を賢く使う観点で一定の効果を確認したところである。
 首都圏と同様に、近畿圏についても、整備の経緯などにより、その料金については結果として路線毎に決定された管理主体や料金体系を寄せ集めてつなぎ合わせたものとなっており、道路ネットワークを賢く使うような料金体系になっていない。
 加えて、例えば、大阪都心部への流入交通の経路選択に偏りが発生するなど特定の箇所に過度な交通集中が発生しており、高速道路を賢く使うための前提となるネットワーク構築が不十分という課題がある。
 このため、近畿圏の交通流動の特性を十分に踏まえつつ、今後のネットワーク充実のための財源の確保も念頭に、円滑な交通処理や確実な債務償還も考慮しながら、抜本的な見直しにより賢く使うための料金体系へと変革すべきである。
 このような考え方により、近畿圏の料金体系について、以下の通りとりまとめた。

(1)現行の料金体系の課題
 近畿圏(京阪神を想定)の現行の料金体系においては、首都圏と同様に、利用者が既存の道路ネットワークを賢く使うことが困難であるという課題が顕在化している。
 具体的には、整備の経緯の違い等から、料金水準や車種区分等が路線や区間によって異なるとともに、特に近畿圏においては、均一料金区間と対距離料金区間の混在が顕著であるなど、利用者にとって分かりにくく、使いにくい。
 限られた財源の中で、ネットワークの早期整備を図る観点から、様々な整備手法を組み合わせてきたため、高速道路として一体的なネットワークを形成している路線において、管理主体として高速道路会社と地方道路公社が混在している。この結果、料金水準等の相違による料金の分かりにくさ、ターミナルチャージ等による割高感、本線料金所など継ぎ目の存在による快適性の阻害に加えて、管理面での非効率などの課題が発生している。
 首都圏と異なり都心部の通過交通は少ないものの、料金体系等の課題に加えて、複数の経路選択が可能となるネットワーク整備が不十分であることもあり、大阪都心部への流入交通のルート選択等に偏りが発生し、これにより特定の箇所に過度な交通集中を招いている。
 高速道路を賢く使うための前提となるネットワーク整備に向けては、その財源の確保が課題である。とりわけ、地域から有料道路事業拡大の要望があるが、現在の料金水準では受益者負担による追加的な整備財源を捻出できない状況にある。
 料金水準の違いの例:名神高速36.6円/km、第二京阪47.0円/km、第二阪奈有料61.2円/km
 車種区分の違いの例:名神高速5車種(軽自動車等、普通車、中型車、大型車、特大車)、阪神高速2車種(普通車、大型車)
 管理主体の混在の例:阪和道(ネクスコ西日本)、南阪奈有料(大阪府道路公社)、南阪奈(ネクスコ西日本)
 過度な交通集中の例:阪神高速東大阪線~大阪港線(西向き)、阪神高速神戸線(上り)、中国道宝塚トンネル付近(上り)

(2)今後の料金体系のあり方
1)基本的な考え方
 中間答申(平成27年7月)において、高速道路を賢く使うための合理的な料金体系の理念として、料金の賢い3原則を整理した。
①利用度合いに応じた公平な料金体系
 受益者負担の考え方に立ち、対距離制を基本とした公平な料金体系
②管理主体を超えたシンプルでシームレスな料金体系
 管理主体間の継ぎ目を感じることなく利用することが可能となる、シンプルでシームレスな料金体系
③交通流動の最適化のための戦略的な料金体系
 高速道路及び一般道路により構成されるネットワーク全体を交通状況に応じて効率的かつ柔軟に利用するための戦略的な料金体系

 この3原則は、平成28年4月の首都圏の新たな高速道路料金の見直しにおいて適用され、利用者等に幅広く理解されたところであり、首都圏以外の他の地域においても高速道路を賢く使う上で共通の理念と考えられる。近畿圏においても、この理念を基本として新しい料金体系を確立することが必要である。

 この理念の適用にあたっては、地域によって実情が異なる高速道路の整備の必要性や緊急性を反映していくことは重要である。
 特に、近畿圏においては、現在の交通状況等を踏まえると、高速道路を賢く使う上で必要なネットワークの充実と、賢く使うための合理的な料金体系の整理との両立を図ることが重要である。
 また、高速道路として一体的なネットワークを形成している路線における管理主体の整理においても、特段の対応が必要である。

2)実現に向けた取組
 料金の賢い3原則に従って、公平な料金体系、シンプルでシームレスな料金体系、戦略的な料金体系を実現するためには、以下の3つの取組を進めることが必要である。
①料金体系の整理・統一(公平な料金体系)
 公平な料金体系を実現するため、料金水準や車種区分について、対距離制を基本としつつ、近畿圏における統一を図るべきである。これに伴い、現行の均一料金区間や、完全な対距離制となっていない阪神高速等を含めて見直す必要がある。
 具体の料金水準については、高速道路ネットワーク全体における公平性や、近畿圏における交通の状況等を考慮し、高速自動車国道の大都市近郊区間における現行の料金水準を参考に、高速道路会社の経営努力も促しつつ、債務の確実な償還の視点に加え、近畿圏固有の課題として、ネットワークの充実に必要な財源確保の観点を踏まえ検討を進める。

 整備に必要な財源確保のため、利用者に追加的な一定の料金負担を求めるなど、一層の受益者負担の考え方を反映することが有効である。新規整備にかかる追加的な料金負担をできるだけ軽減する観点から、合理的な様々な工夫をすることが必要である。
 なお、料金負担の検討にあたっては、地域の合意形成を担う地元自治体の提案を尊重することが妥当である。

 様々な工夫としては、ヒアリングを通じて得られた提案を踏まえ、以下の対応を検討する。
a.出資金の償還時期の見直しについては、中間答申(平成27年7月)において既に指摘したところであるが、出資者の理解を得つつ、更新事業に関する債務を含め有利子債務を先に償還し、出資金をその後で償還することにより、全体として利息の発生を抑え、新規整備にかかる追加的な料金負担を軽減することを検討する。
b.これまで平成62年まで(民営化から45年間)の料金収入を現行の建設債務の償還に充てる償還計画としているが、受益のある世代間の公平な負担や追加的な料金負担の軽減の観点から、現行の建設分とは別の新規建設の債務償還のために、料金徴収期限までの追加的な料金負担分を活用することを検討する。 c.確実な債務償還を前提として、低金利などの条件が整う場合において、その追加的な料金負担を引き下げるなどの努力を継続的に実施することを検討する。

②管理主体の統一も含めた継ぎ目のない料金の実現(シンプルでシームレスな料金体系)
 高速道路会社と一体的なネットワークを形成している路線で、地方道路公社等の管理となっている区間は、合理的・効率的な管理を行う観点から、地方の意向も確認しつつ、高速道路会社での一元的な管理を検討すべきである。
 また、管理主体が異なる高速道路を跨いで利用する際などに課されるターミナルチャージについて、現在徴収している分を走行距離に応じた料金に振り替えるなど、債務の確実な償還の観点も考慮しつつ、1回の利用に対して1回分のみ課すべきである。
 加えて、異なる管理主体や料金体系間の継ぎ目において高速道路本線に料金所が多数設置されているが、シームレスな利用を実現し、安全性・快適性を向上させるため、まずは、都市高速道路の旧料金圏の継ぎ目に位置する本線料金所から、撤去を進めるべきである。

 近畿圏においては、首都圏と異なり都心部の通過交通は少ないものの、ネットワーク整備の課題と相俟って、例えば、大阪都心部への流入交通の経路選択等に偏りが発生し、これにより特定の箇所に過度な交通集中を招いていること等を踏まえ、都心部への分散流入等に関して、料金面で不利とならないよう、交通分散の観点から、いかなる経路を選択しても料金を等しくするような対応をすべきである。

③戦略的な料金体系
 料金体系の整理・統一や管理主体の統一を含めた継ぎ目のない料金を導入した上で、更に今後整備するネットワークが完成した後には、対象となる路線や時間帯などを区切り、以下のような戦略的な料金施策を実施することが必要である。

<経路別の混雑状況に応じた料金施策>
 今後整備するネットワークが完成すると、大阪都心部を環状で取り囲むネットワークや神戸都心部を迂回するネットワークが形成される。これらの環状道路等のネットワークを活用し、大阪都心部及び神戸都心部への流入や通過について、交通需要の偏在を防ぐとともに、都心部の環境改善を図るため、最適な交通流動を目指して、経路別の混雑状況に応じた料金を導入すべきである。
 具体的には、平成29年度からの新たな料金体系の導入以降順次、その交通に与える影響を検証する。
 その後、検証結果等を踏まえ、曜日や時間帯などを区切って、混雑状況に応じて、大阪都心部及び神戸都心部への流入・通過について、経路別の料金に一定の料金差を設けるなどの料金の導入を開始する。
 将来的には、諸外国の事例も参考に、ICTの普及状況を踏まえながら、混雑状況に応じて一定時間毎に変動する機動的な料金を目指すべきである。
 なお、利用者が容易に経路を判断できるよう、料金体系はシンプルなものとし、併せて、各経路における所要時間や渋滞状況など、必要な情報を適切に提供することが重要である。

<災害・事故発生時等における柔軟な料金施策>
 災害や交通事故等が発生した際に、利用者が発生箇所を迂回するため、代替路を走行した場合や、路外での休憩・インターチェンジ近傍の高速バス停乗降など、高速道路の外にある休憩施設等を利用するために、一定時間内に一時退出した場合は、利用者の負担が増えないような料金体系を構築すべきである。

(3)料金体系の確立にあたっての留意事項
 近畿圏の新たな料金体系の確立にあたっては、以下に留意して、取組を進めることが必要である。

<道路ネットワーク整備の進展に合わせた導入>
 近畿圏の新たな料金体系については、当面、平成29年度からの導入を目指すが、地方道路公社等が管理する路線の高速道路会社での一元管理の実施や、建設中の大和川線及び今後整備を行う路線の進展にあわせて、地域の意見も聴取しつつ、料金体系の確立に向けたロードマップを明らかにした上で、導入を進めるべきである。
 平成29年度からの導入にあたっては、均一料金区間や阪神高速等における長距離利用料金の見直し、ターミナルチャージ廃止分の振替などの料金体系の大幅な見直しにより、国民生活や経済活動に大きな影響が生じることが懸念される場合には、ネットワーク整備等の進展に合わせて、段階的な見直しや負担増に対する一時的な割引を実施するなど、激変緩和措置の導入が必要である。
 新たな料金体系の導入にあたっては、これまでの料金体系の見直し時と同様に、料金の変更点について、広く利用者への周知が図られるよう努力することが重要である。
 なお、料金体系の整理・統一にあたっては、阪神高速が対距離料金制移行の際に導入した割引等は政策目的を見極めつつ、見直すことが必要である。
 今後進められていく大規模更新・修繕の事業実施に伴う交通への影響についても十分に踏まえつつ、その影響を軽減するため、ネットワーク整備や料金体系について検討を進めるべきである。

<定期的な評価等による適切な実施>
 新たな料金体系の効果や周辺道路等への影響を判断するため、評価指標を設定した上で、高速道路を含む道路ネットワーク全体の最新データによる定量的な分析により、定期的に評価を行うことが必要であり、特に割引については、評価結果を踏まえ、継続、見直し、廃止のいずれとするかを検討すべきである。
 なお、戦略的な料金体系の導入にあたっては、効果の程度や評価方法等について、事前の十分な検討が必要である。
 高速道路ネットワーク全体を最大限活用するためには、高速道路会社相互の連携を図りつつ、高速道路会社の積極的な取組を最大限引き出すことが重要であり、企画割引のように自主的に料金を設定できる枠組みに加えて、評価指標も活用し、高速道路会社に対して賢い利用を促進させようとするインセンティブを与えることが重要である。

<近畿圏道路ネットワークとしての検討対象の広がり>
 平成27年7月に全通した京都縦貫自動車道など日本海側と太平洋側との連携も視野に入れるとともに、京奈和自動車道など関西全体を広域的に俯瞰して、検討を進める必要がある。

3.今後の高速道路の検討課題
 中間答申(平成27年7月)を踏まえ、引き続き、全国の高速道路において、以下の課題に取り組む。
(1)利用者視点での整理
[他の大都市圏の料金体系に関する検討]
 首都圏及び近畿圏の議論を踏まえ、中京圏の料金体系についても、ネットワーク整備の進展に合わせて、地域固有の課題等について整理した上で、議論を進めることが必要である。
[将来の高速道路の利用者負担のあり方]
 国際競争力の強化や地域活性化の観点から、料金水準の低減が交通渋滞を引き起こす区間を除き、引き続き、料金の低減に向けた努力を払うべきである。
 整備の経緯から料金を徴収している区間と徴収していない区間が混在している路線や、現在は無料となっているものの、渋滞緩和などの課題を解決するため、利用者負担のあり方について検討が必要な路線については、諸外国の事例も参考にしつつ、有料・無料の整理を引き続き精力的に検討すべきである。

[高速道路を賢く使う取組とそれを支えるために進める施策について](略)
(2)維持管理・更新 (略)
(3)高速道路の安全対策 (略)
(4)ETCの普及促進・義務化等 (略)
あとがき (略)
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