神戸市バス 赤字路線7割 携帯の位置情報で需要を分析 <2019/5/19 07:00 神戸新聞NEXT>を編集
7割の路線が赤字の神戸市バスの利用率を上げようと、神戸市企画調整局交通政策課が、携帯電話の位置情報を活用した需要分析に取り組んでいる。膨大な位置情報を基に、バスを使っていない人の移動パターンも掘り起こし、路線開拓につなげる狙い。市バス事業は今後、運転士が大量に定年退職するため、人材確保に懸念がある。交通政策課は「ビッグデータを活用し、持続可能な公共交通の在り方を検討したい」としている。
神戸市交通政策課によると、市バスの2017年度の利用者は、2008年度比で延べ891万人(12%)減った。それでも市民の足として可能な限り路線を維持する方針で、2017年度は全84路線中60路線(71%)が赤字に。黒字路線で埋め合わせしても、年間5億4100万円の赤字を計上した。
運行を担う運転士の確保も厳しい。今後10年間で退職する運転士は、現職218人(2019/04/01時点)のうち159人と7割超に及ぶ一方、バスを運転できる大型二種免許の保有者は全国で毎年2万人以上減り続けているという。
貴重な人材を有効活用するため、交通政策課はビッグデータに着目した。携帯電話の位置情報を需要分析に生かせないか2018年度から検討を開始。モバイルデータ販売会社2社から、特に赤字幅が大きい兵庫区、長田区などのビッグデータ3種を計約700万円で購入した。
地域を1km四方の碁盤の目に区切り、人の移動を1時間ごとに抽出したデータは、5日間の午前5時から24時まで、延べ約1042万人分を入手。24時間分を購入した500m四方の区域別人口分布データは、電話機ごとに所有者の住所と関連づけ、移動習慣を推測できる。所有者の性別と年代が分かるデータもある。サンプル数は限られるが、詳細な移動経路が分かるものもあり、活用の幅は広い。
交通政策課は「バス事業にビッグデータを活用する自治体は全国でも珍しい。早ければ2020年度から、路線やダイヤの再編を実現させたい」としている。
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