JR北海道:函館線江部乙駅〜滝川駅間における重大インシデントについて <2009/02/06>
JR北海道は、プレスリリースで、JR函館線 江部乙〜滝川において発生した重大インシデント(信号違反)について報告した。
1.発生日時:2009/01/15 14:36頃
2.発生場所:JR函館線 江部乙〜滝川 上り線(滝川駅から約1.4km、江部乙駅から約7.1km)滝川市一の坂町西2丁目
3.概況:
2010/01/15 14:36頃、旭川13:41発岩見沢行き普通列車の運転士が江部乙〜滝川 上り線の上り第1閉塞信号機の注意信号(黄信号)を確認し、当該信号機の内側に進入したところ、前方に貨物列車が停止しているのを認めたため、直ちに停止するという重大インシデント(信号違反)が発生しました。
調査の結果、当該信号機が停止信号(赤信号)となるべきところ、注意信号(黄信号)となることが判明したため、当該信号機本体の交換作業を実施し、2009/01/16 07:29に復旧作業を終了しております。
4.原因:
信号機の誤配線……2008/01/22に当該信号機の取替工事を実施した際、施工後の機能確認が不十分だったためと推定しました。
5.付記:
(1) 全道の信号機について、事象発生日から翌日にかけての緊急点検で停止信号(赤信号)が表示されることを確認しておりますが、引き続き実施した追加点検において、停止信号以外の表示についても、確認を2009/01/30までに終了し、異常はありませんでした。
(2) 2008/01/22以降、事象発生までの期間において、今回のように滝川駅構内の手前で列車が停止し、後続列車が接近するような状況は無かったことを運行記録により確認しております。
(3) 当該信号機の取替工事以降、事象発生までに定期点検及び信号電球取替を2回実施しておりますが、腐食等を調査する外観検査および信号灯端子電圧の測定等を実施するものであり、列車の条件による表示確認は検査項目に含まれておりませんでした。(2007/06/29、2008/08/20実施)
(4) 国土交通省運輸安全委員会による現地立ち入り調査及び関係者からの聞き取り調査が、2009/01/16〜2009/01/18で実施されています。
6.対策
◎ 信号機取替等の工事後に実施する表示確認においてチェック体制の強化を図ってまいります。
(1) 従来は1人で実施していましたが、今後は複数で行います。
(2) 従来は箇所毎に作成されていたチェックリストの内容を見直し、標準化を図ります。
(3) 全ての信号表示を写真撮影により記録として残します。
(4) 工事終了後の初列車通過時に信号機の表示が停止信号(赤信号)となることを現地で確認します。
◎ 今後は定期的に行う信号電球の交換作業に併せて、信号機の表示確認を実施いたします。
7.事象発生後の対応(時系列):
2009/01/15
14:36頃 運転士から指令センターへ無線による第1報
15:00頃 指令センター内において信号担当者が調査開始
16:00頃 指令センターの信号担当者が調査結果の報告を行った後、現地調査のため出動を指示
17:13頃 現地社員が当該信号機の信号現示が停止信号(赤信号)にならないことを確認
17:40頃 現地より指令センター信号担当者へ、当該信号機が停止信号(赤信号)となるべきところ、注意信号(黄信号)となる旨を連絡
18:10頃 指令センター内において、信号担当者から運行管理担当者へ状況の報告
18:20頃 JR函館線 江部乙〜滝川 上り線を1個列車に占有させて運転
18:25頃 工務部長から鉄道事業本部長へ報告
18:45頃 鉄道事業本部長が指令センターへ電話で連絡し、事象の概況について説明を受ける
20:15頃 当該信号機を故障の取扱(閉塞指示運転)とする
2009/01/16
03:30頃 当該信号機の信号ケーブルと信号機本体の接続誤りを発見
07:29頃 当該信号機本体を交換後、正常動作を確認し復旧作業が終了(運転方式を閉塞指示運転から所定運転へ戻す)
8.対応における課題:
(1) 指令センターは、運転士からの第1報を受けた段階で、インシデントが発生しているという認識を持ちませんでした。
(2) 指令センター内で異常に関する情報が、共有化されておりませんでした。
(3) 現地係員が信号機の異常を確認した後、原因究明を優先して現地調査を行ったため、指令センターの運行管理担当者へ情報が伝達されるまでに時間を要しました。
(4) 鉄道事業本部長等経営幹部への報告が事象発生から相当時間が経過した後となりました。
9.課題に対する対策:
(1) インシデントに関する資料を解り易く見直しを行い、教育を継続して実施していきます。
(2) 乗務員からの無線に対する復唱の徹底を指導することで、確実な内容の確認を図ります。
(3) 指令センターで無線等から受けた情報を、一斉放送等で周知することを再徹底し、情報の共有化を図ります。
(4) 列車の運転保安上、重大な異常またはその恐れがある事象を発見した場合には、速やかな措置ができるように列車防護訓練等により社員の再教育を行います。
(5) 「インシデント」に関する情報連絡体制を明確にし、鉄道事業本部長等経営幹部への迅速な報告により、危機管理体制の整備を図ります。
10.その他:
交換した信号機については、将来にわたり今回の重大な事象を風化させないために社員研修センターの安全研修室に展示する予定です。
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原因は信号機の誤配線 JR函館線のニアミス <MSN産経 2009/01/16>
JR函館線(北海道滝川市)で2009/01/15に信号機が正常に作動せず、普通列車が貨物列車の約250m手前まで接近したトラブルで、JR北海道は2009/01/16、札幌市内で記者会見し、信号機の誤配線が原因だったと発表した。
JR北海道によると、信号機に電気を送る配線3本が、端子板の誤った位置に接続されており、赤信号が点灯すべき際に黄信号が点灯。2007/01の交換時に誤ったとみられるが、通常ダイヤではこの信号機で列車を停止させることはなく、点検でも異常を見つけられなかった。JR北海道が詳しい原因を調べている。
JR北海道は2009/01/16午前までに約2900基ある信号機すべてを緊急点検し、正常に作動することを確認した。工務部長の幅口堅二は(中略)と陳謝した。
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あわや接触事故、普通列車前方に貨物列車 JR函館線 <asahi.com 2009/01/16>を添削
JR北海道は2009/01/15、JR函館線で、普通列車が前方で停車中の貨物列車に衝突しそうになる
事故(事故寸前の事象)があったと発表した。普通列車は貨物列車の約250m手前で停車、怪我人はなかった。JR北海道は国土交通省に報告、国交省運輸安全委員会は調査官2人の派遣を決めた。
国交省などによると、2009/01/15午後、普通列車(旭川発岩見沢行き、3両編成、乗客44人)が注意信号(黄色)を見て江部乙〜滝川に進行したが、前方に貨物列車(12両編成)が停車しており、急停止した。普通列車は時速10km程度で走行。貨物列車は、滝川駅で除雪作業が行われていたため待機していた。
JR北海道によると、前方に車両がある場合は本来、停止信号(赤色)が表示される。運転士から連絡を受けたJR北海道が、信号の作動を確認した際にも、注意信号(黄色)が表示された。詳しい原因を調べている。
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